“ワイナリーを味わう”最初の扉

MENU DESIGN

新潟市西蒲区角田浜にあるカーブドッチワイナリー。日本海に広がる海岸地帯に位置しており、その地特有の砂質土壌でぶどうを栽培しワインをつくっています。今回私たちが制作したのは、そんなカーブドッチワイナリーと同じ敷地内にあるワイナリーのメインレストラン「ガーデンレストラン」、その直営店である「カーブドッチとやの」「ぽるとカーブドッチ」の3店舗のメニューです。ガーデンレストランとぽるとは店内の上品でクラシカルな雰囲気を、とやのはそれを引き継ぎつつもカジュアルで、大きな窓から自然光が差し込む店内の雰囲気のイメージを落とし込みました。

カーブドッチの特徴は、何といっても海と砂のテロワール。ワイナリーの周辺は一面砂地に囲まれており、カーブドッチを目指しながら車を走らせていると、段々と近づいてくるにつれて姿を現す海岸線や畑、雄大な角田山を眺めることで「あぁ、カーブドッチに来たな」と実感すると同時に、落ち着きの中にも胸が高鳴ります。
僅か1.5kmと、海のすぐ近くにカーブドッチはあります。昼はそこから吹いてくる風、夜は陸からの風。そして砂地が湿気を吸い込んでくれることによって、ぶどうの最大の敵である湿度を下げてくれるのがこの地の特徴。そんな環境だからこそ、砂質土壌ならではのニュアンスや、繊細な味や香り、多くのお客様に愛され続けるワインをつくることができるのです。この場所で、カーブドッチを含めた5軒のワイナリー「新潟ワインコースト」の個性豊かなワイナリーの醸造家の皆さんが、様々な品種の栽培に挑戦しています。

カーブドッチワイナリー醸造家の掛川史人さん

そのワインを一番近くで一番美味しく味わえるのが、ワイナリーの中央に位置する「ガーデンレストラン」です。地元の食材を使った本格的なフレンチを味わうことができ、そこに訪れたお客様とカーブドッチのワインを繫ぐ役割を持っています。畑、ぶどう、ワイン、醸造家、そのすべてからバトンを受け取り、シェフの手によって一品一品作られた料理たち。窓際の席から望む、見切れるほど大きな角田山とぶどう畑。雄大なその景色を眺め、ワインをいただきながら、大切な人と時間を過ごす。この、贅沢で非日常的な雰囲気を求めてお客様は日々いらっしゃるのだと思います。

お客様とレストラン、ワイン、料理を繋ぎ、『ワイナリーを味わう』最初の扉の役割を果たすのがこのメニュー。デザイナーとして制作の第一歩を任された時、まず今までに自分が訪れたレストランや飲食店で何気なく見てきたメニューを、はっきりとまでいかないけれど思い出してみました。あくまでも主役は料理であり、メニューではありません。しかし、そのメニューも店内の空間の一部でないといけない。そう考えた時、『カーブドッチに相応しいメニュー』の姿が自然と頭の中に浮かび上がってきました。
制作の途中で気がついたのは、お客様がワクワクしながら料理の到着を待つその少し前、その高揚感を作り出すのが今回のお仕事なのだということ。実際に本店のガーデンレストランで私自身がメニューを手にした時、やはりそれは完成したような気がしました。メニューを開くと、その中の料理はどんな料理なのか、それにはどんなワインが合うのか、その一つひとつに心が踊ったのですから。
レストランに来店されているお客様もそんな風に感じてくださっていると幸せだな、と思います。